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喜田貞吉「火葬と大蔵」

青空文庫 喜田貞吉「火葬と大蔵」1919(大正8)初出の短篇
          サブタイトル:焼屍・洗骨・散骨の風俗

喜田貞吉の名前だけは知っていたが初めて読んだ
全面的に同意だ


火葬
「8世紀初頭に僧侶が、天皇としては持統天皇が最初に火葬された」
知識としては知っていたがあまり深く考えていなかった


喜田貞吉はいう
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屍体を焼くことはすでに大宝令の本文にも少からず見えている。…(中略)…屍体を焼けば始末がよいくらいの事は知っておったであろう。…(中略:続日本紀に道照和尚が火葬の初めだとあるのは)…葬送の一つの儀式として、仏式により高貴の御遺骸をも荼毘に附するという様になったことの初めだという訳で、単に屍体を焼くという広い意味のものではあるまい。
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なるほど、そうに違いない



洗骨
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洗骨がかつて我が国においても行われたであろうとのことについては、自分は既にしばしば歴史地理の誌上(二十五巻五号六頁、三十二巻六号六頁等)に発表しておいた。不幸にして学界の承認を得なかった様ではあるが、しかもそれを立証すべき類例は、かなり多く自分の手許に集まっているのである。けだしこの風は我が石器時代からも存していて、歴史時代にまで引き続き、盛んに行われたものであろう。記録上にこれを見ぬのは、それが普通の事であって、一向珍らしくなかったが為と解するのが至当であるかもしれぬ。
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洗骨の風は世界中にある
日本でも縄文弥生時代に洗骨を納める壺がたくさん出土している
地方では近年まで行われていた葬制だ

東南アジアでは今でも行われている


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台湾の漢人は高さ二尺余の瓶の中に、関節の部分は藁などで縛って膝を折り腕を曲げた姿勢に作って納める

常陸国小田村の古墳調査の報告中に掲げられた図を見ると、石室の一端に近く二個の頭蓋骨と下齶骨とを正しく並べ、他方に大髄骨脛骨等数多あまたの遺骨を、薪を積みたる如く一所に並べて置いた有様が見える。

台湾では藁で縛って、真綿で辮髪をまでつけて、もとの姿勢に作る

事実上我が古墳の中には、とても屍体のままでは並び切れぬという程の極めて狭い石室中に、二人三人ないし五六人の骨が正しく並んで存在している例が珍らしくない。

播磨風土記飾磨しかま郡の条に、墓を造って葬り、後其正骨を運び去ると云い、賀毛郡の条に、朝夕日の隠れぬ地に墓を造って其の骨を蔵すなどあるのは、たまたま事によって洗骨の事が記されたのだとみればみられぬ事もない。

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散骨
大宝の喪葬令にある「大蔵」とは「散骨」のことであろうという
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骨を除散することは、事実上我が古代には珍らしい事でなかったらしい。淳和上皇崩御の前、遺詔して御骨を砕いて粉となし、これを山中に散ずべく命じ給うた。これに対して中納言藤原吉野は諫諍を試みたが、その説容れられず、いよいよ御葬式に際しては、遺詔の如く荼毘に附し奉った御骨を砕粉し、大原野西山の嶺上に散らし奉ったとある。されば天皇の御為には山陵の役を起さず、この君に限って延喜式にも、諸陵寮の条に山陵の記事がない。これはすなわち骨を除散せしめた大蔵の顕著なる実例と申し奉るべきものであろう。
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なるほど興味深い


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本書とは関係ないが淳和天皇の陵墓について

淳和天皇(786-840)
淳和上皇自身の意向により火葬され、その遺骨は…(中略)…散骨されたと言われている。山陵を築く事を禁じられていたため「延喜諸陵式」に陵墓が記されておらず、当地には長らく小石で築かれた円塚のみであったが、幕末の陵墓修復の際、小塩山山頂付近に大原野西嶺上陵と称する陵が築かれた。
淳和天皇@Wikipedia

幕末にいたって尊皇思想が高揚すると天皇陵にも復古調が取り入れられ、孝明天皇陵は大規模な墳丘を持つ形式で築造された。<(天皇陵@Wikipedia


江戸幕府を倒した「王政復古・尊王思想」などというものの正体はこれだ
本人の意志より自分の思想の方が大事なのだ


古来、正義を振りかざすものが正義だった例はないのではないだろうか


ちなみに「尊皇攘夷」という言葉を作った水戸学には明の亡命者朱舜水がいる
朱舜水@Wikipedia




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