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夏目漱石の自虐史観

青空文庫で夏目漱石の「マードック先生の『日本歴史』」を読んだ。
約2年間のロンドン留学の10年後明治44年に書かれた短篇だ。

博識の夏目漱石がここまで日本に自虐的だったとは知らなかった。


■日本人を虫に、マードック先生を虫の研究者に喩えた部分
明治の歴史…(中略)…海軍が進歩した、陸軍が強大になった、工業が発達した、学問が隆盛になったとは思うが、それを認めると等しく、しかあるべきはずだと考えるだけで、…(中略)…丁度葉裏に隠れる虫が、鳥の眼を晦ますために青くなると一般で、虫自身はたとい青くなろうとも赤くなろうとも、そんな事に頓着すべき所以いわれがない。こう変色するのが当り前だと心得ているのは無論である。ただ不思議がるのは当の虫ではなくて、虫の研究者である、動物学者である。
 マードック先生のわれら日本人に対する態度はあたかも動物学者が突然青く変化した虫に対すると同様の驚嘆である。維新前は殆んど欧洲の十四世紀頃のカルチュアーにしか達しなかった国民が、急に過去五十年間において、二十世紀の西洋と比較すべき程度に発展したのを不思議がるのである。僅か五隻のペリー艦隊の前に為なす術すべを知らなかったわれらが、日本海の海戦でトラファルガー以来の勝利を得たのに心を躍らすのである。


■日本を低く西洋を高く決めつけた部分
財力、脳力、体力、道徳力、の非常に懸かけ隔へだたった国民が、鼻と鼻とを突き合せた時、低い方は急に自己の過去を失ってしまう。過去などはどうでもよい、ただこの高いものと同程度にならなければ、わが現在の存在をも失うに至るべしとの恐ろしさが彼らを真向まともに圧迫するからである。

■日本の未来を悲観した部分
マードック先生がわれらの現在に驚嘆してわれらの過去を研究されると同時に、われらはわれらの現在から刻々に追い捲まくられて、われらの未来をかくの如く悲観している。



夏目漱石に限らず明治の識者はこうだったのだろうか


なんでここまで謙虚なのだろう
謙虚の域を越えていないだろうか


明治政府の蒔いた種のひとつかもしれない。


明治政府は
尊皇攘夷を叫んで幕府を倒したくせに夷狄の洋服を着て鹿鳴館を建て
儒教に酔い王政復古を謳い神仏分離令と廃仏毀釈で寺を壊した。

維新の勝ち組ではあるが明治政府に正義はないと思っている。
明治以降の日本

昨今の民主党と似た反日政府だったのではないかと思っている。

・・・ちょっとトンデモ?



ちなみにマードック先生は共産主義者だったようだ。
参考1:第29話 ジェームス・マードック(ブログ「井蛙草庵」より)
参考2:ジェームズ・マードック@Wikipedia
   

■本論とは関係ないが面白い記述もあった
西洋人が予期せざる日本の文明に驚ろくのは、彼らが開化という観念を誤まり伝えて、耶蘇ヤソ教的カルチュアーと同意義のものでなければ、開化なる語を冠すべきものでないと自信していた…(中略)…耶蘇教的カルチュアーでなければ開化といえないとは、普通の日本人にどうしても考え得られない点である。けれどもそれが西洋人一般の判断だと、先生から注意されて見ると、なるほどと首肯せざるを得ない。

以上、本文全体の1割以上引用したんじゃないだろうかw



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